特許権(PAT.)に関するコラム
【模倣製品(=イ号製品)が生じてくる経緯】
- 「模倣」を企てる悪意の第三者は、常に後発ばかりを狙おうとする企業文化のメーカー、又は、良質な製品を少しでも「安く」仕入れたい企業の購買担当者であったりします。「もう少し安くできないか・・」と投げ掛けられる言葉によって、安易に「二匹目のどじょう」を狙おうとするメーカーの開発担当者が、盲目となり、真似ることを正当化してしまうことで、模倣行為が発生することになります。
- 別の視点から考察するならば、模倣されるということは、本家本元となる先発の真正製品に関しては、それだけ「良質な製品」であり、既に、市場から非常に高い評価を頂いている製品であるという証左になります。
【模倣製品(=イ号製品)の特徴】
- 多くの場合、完全コピー製品では、知的財産権に関与する法律(=特許法等)だけではなく、不正競争防止法も抵触する可能性がある為、先発製品(=真正製品)の形状や構造を「少しだけ」変更したデザインで、模倣製作されることになります。
- この為、非常に不自然な形状や、無理な構造が見受けられることになります。結果として、使用時に、クレーム(=無理)が生じてくる可能性が高くなります。
- 真正製品の先発開発者が、非常に苦労した点に関しては、表面上、形だけ模倣することになる為、どこかでメッキが剥がれることになるのです。従って、先発開発企業のみが、真正製品の「優れた点」に関して、深く理解をしていることになります。
- 価格面においては、模倣製品に関して言うならば、「安く設定されて、先発製品の下をくぐる」ことになりますが、特徴としては、その1点しかありません。むしろ、後々無理に変更した部分がクレーム対象になってしまい、真正製品も含めた製品分野全体の評判を落とすことにもなりかねません。
【上記に関する具体例:鉛筆】
- 当初の鉛筆は円柱形状だった為に、例えば、机上ではコロコロと転がり易く、落下時には、芯折れや、紛失等の損害リスクを常に包含していました。
- そこで、「転がりにくく」する為に、先発製品として、断面を六角形の形状に変更し、「転がりにくい」鉛筆が開発されました。
- 上記製品に対して、後発企業が、「少しだけ」形状を変えて、断面を四角形や、三角形の形状に変更した模倣製品が開発されました。
- 確かに、「転がりにくい」という点では、当初課題をクリアしているように思われますが、その1点だけでは、鉛筆の形状に関して、深く理解をしているとは言えません。
- 実は、六角形の形状に着地したことには、他にも理由があったのです。例えば、持ち易いこと、更に言うならば、長く使っても疲れにくいこと、削り易いこと、或いは亦、生産性の視点からは、材料を効率的に使用できること等々です。
- 以上のことから、形状を少しだけ変更する模倣行為に関しては、「真似ること」だけを最優先に考える為、使用者目線等、深い分析や配慮は、全くありません。仮に、「安かろう」という理由だけで、模倣製品を購入されてしまった場合には、確実に、「悪かろう」の部分が後から露呈してくることになります。
- その意味では、消費者までを含めた流通上の関係者各位にとっても、優れた審美眼が求められていることになります。